【法人向け】EV充電器の種類を紹介!普通充電器・急速充電器の違い、選び方のポイントとは
EV充電器は一般的には「普通充電器」と「急速充電器」の2種類に分けられ、導入する際はそれぞれの特徴やメリット・デメリットなどを踏まえて選定することが重要です。しかし、具体的に何が違うのか、また自社に適した充電器がどれなのか分からない方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、EV充電器の種類や選び方のポイントを分かりやすく解説します。
目次
EV充電器の種類とは?普通充電器と急速充電器の違い
EV充電器の種類は、充電出力や活用シーンやよって「普通充電器」と「急速充電器」の2種類に分けられます。
それぞれの基本的な特徴やメリット・デメリットは、上記の通りです。次章からは、これらについて詳しく解説していきます。
EV「普通充電器」の基礎知識
まずはEVの「普通充電器」に関して知っておきたい基礎知識を解説します。
普通充電器の活用ケース・特徴
普通充電器は、充電出力が約3kWから6kWであり、日常的な利用を想定した充電器です。例えば、「EV(電気自動車)を使用しない時間帯に、自社の駐車場で充電する」といったケースに用いられます。
社用車・公用車としてEVを導入する場合は、普通充電器を導入することが一般的です。外出から戻ってきた夕方以降に、拠点に設置した普通充電器で充電するといった使い方が想定されます。
普通充電器の2つのタイプ
普通充電器には、「可搬型(コンセントタイプ)」と「据置型」の2種類があります。
▼可搬型(コンセントタイプ)
▼据置型
可搬型は、電源との充電ケーブルとの接続がコンセントとなっており、充電ケーブルの取り外し・持ち運びが可能なタイプであり、据置型は電源と充電ケーブルが一体になっているタイプを指します。
それぞれの利用に必要な設備や価格などは、以下の通りです。
可搬型の普通充電器は、据置型と異なり、別途コンセントの設置が必要です。また、可搬型の本体価格は、ケーブルの長さ、機能によって変動します。
充電コネクターの規格については、EV車両の充電口の形と対応していなければ充電ができないことに注意が必要です。
充電器の規格については、こちらの記事で詳しく解説しています。
それでは、これら普通充電器は、導入にあたりどのようなメリットがあるのでしょうか。
普通充電器のメリット
普通充電器を導入するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
<メリット>
・導入コストが比較的安価
・種類によっては充電制御できる
普通充電器の場合、後述する急速充電器と比較すると本体価格や設備にかかる費用が安価で、導入費用を抑えられる点がメリットです。
また、普通充電器の機能として、「充電制御」の実施が可能なものもあります。充電制御とは、充電開始/停止のタイミングや出力をコントロールする仕組みのことであり、電気料金における契約電力の増大を抑えたり、設備増強コスト抑えることができることから、充電器の運用コストを抑制できる効果があります。
充電制御の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
普通充電器のデメリット
一方で、普通充電器には以下のようなデメリットがあります。
<デメリット>
・充電に時間がかかる
普通充電器は、ガソリン車で給油するよりも充電に時間を要します。EV車両の一般的なバッテリー容量は20~70kWhですが、例えば40kWhのEV車両を6kW普通充電器で充電する場合、フル充電までに約6.7時間かかります(40kWh÷6kW=約6.7時間、車両側の制御により実際は左記よりも時間がかかることがあります)。
ただし、EV(電気自動車)の充電時間の長さは、必ずしもデメリットとは言えません。
ガソリン車と異なり、EVへの充電は「使用していない停車時間中に充電する」ことが可能です。そのため、夜間の停車時間中に充電を完了させておけば、翌日から走行することができます。ガソリンスタンドに行く手間も省けます。燃料費の点においても、ガソリン代より電気代の方がお得です。
こうしたEVの充電時間については、以下の記事で解説しています。
ここまででEV「普通充電器」の基本知識を解説してきましたが、次項よりEV「急速充電器」について解説します。
EV「急速充電器」の基礎知識
急速充電器の活用ケースと特徴
急速充電器は、充電出力が20~150kW程度で、主に長距離移動中の休憩時(サービスエリア等)や、公共施設・商業施設の駐車時の充電に利用されます。
急速充電器は、短時間で高い出力での充電が可能です。そこで、一般的には自動車ディーラーや、高速道路のサービスエリア・パーキングエリア、一般道における道の駅などに設置されています。
急速充電器の設備構成
急速充電に必要な設備や特徴は以下の通りです。
利用電力が50kWを超える場合は、本体に加え高圧受電設備の導入も必要となります。急速充電器は本体だけで200~500万円ほどかかりますが、高圧受電設備も導入する際は、設置費用を含めるとさらに追加で数百万円が必要となります。
規格に関しては、現在日本ではCHAdeMOが主流ですが、世界的にはCCS ComboやNACSという規格が主流となりつつあります。日本のEV充電器メーカーにもNACSを採用する動きも見られています。
以上の特徴がある急速充電器ですが、導入に際してのメリット・デメリットには何があるのでしょうか。以降では、急速充電器のメリット・デメリットを解説します。
急速充電器のメリット
<メリット>
・高出力で短時間での充電が可能
急速充電器最大のメリットは、その名の通り急速に短時間で充電することに長けている点です。
急速充電器は20kW以上のものが一般的であり、高速道路のSA/PAでは50kW以上のものも設置されています。普通充電器と比較すると充電出力が大きいため、短時間で充電を完了できます。
例えば、40kWhのEV車両を50kWの急速充電器で充電すると、約0.8時間でフル充電が完了します(40kWh÷50kW=約0.8時間、充電器や車両側の制御により実際は左記よりも時間がかかることがあります)。
なお、急速充電器を自社に導入する際は、充電出力に対応できる高圧電力の契約や、設備の増強が必要となる場合がある点は押さえておきましょう。
また、公共の急速充電器を経路充電で利用する場合は、1回の充電につき15分~30分の利用制限が設けられている点にも注意が必要です。
急速充電器のデメリット
一方で、急速充電器には以下のようなデメリットがあります。
<デメリット>
・導入・運用コストが高い(自社に導入する場合)
・利用料金が高い(公共の充電器を利用する場合)
・充電時に立会いが必要
先述の通り、急速充電器の場合は普通充電器と比較すると本体や関連設備の費用が高いため、導入・運用にコストがかかります。また、外出先で急速充電器を利用する場合でも、会費を含めた利用料金が高い点がデメリットです。
また、急速充電器には、多くの場合、充電時間の制御や出力制御が適用されません(技術的には可能であるものの、利用ケースに適さないため)。更に公共利用の場合は1回の利用に時間制限があるため充電時に立会いが必要になります。
また、自社利用としては導入・運用コストが高額になることから1、2台程度しか導入できず、EV車両を大量に導入した場合、満充電になった車両と次に充電が必要な車両を入れ替えなければならない手間が生じる点にも注意が必要です。
自社に合ったEV充電器の選び方とは?
以上のようなEV充電器の特徴、メリット・デメリットを踏まえて、自社に合った充電器を選ぶには以下のポイントを押さえる必要があります。
EV充電器の導入目的は何か
まずは充電器を導入する目的と、それぞれの充電器の特徴を照らし合わせて、最適なものを選ぶことが重要です。
例えば、自社の拠点で社用車・公用車を充電したい場合には普通充電器が適しています。一方で、公共用の充電器を導入するのであれば急速充電器が一般的です。
充電以外の機能があるか
基本的な充電機能のほかに、運用の利便性を向上する機能の必要性も選ぶ際のポイントとなります。
例えば普通充電器の運用には、先述のように充電開始/停止のタイミングや出力をコントロールする「充電制御」を可能にするものがあります。充電制御を活用することで電力消費が重なりやすい夕方の充電を避けられるため、契約電力が増大するリスクや設備増強コストを低減できます。
最適なEV充電器の導入・EVシフトをトータルサポート!「EnneEV」
ここまでご紹介したように、充電器の種類によって特徴やメリット・デメリットが異なるため、導入前にしっかりと把握しておく必要があります。また、EV(電気自動車)の導入台数が増えると、必要なEV充電器数も増えるため、コストや機能なども踏まえて最適なものを選ぶことが重要です。
EnneEV(エネーブ)は、EV充電器の導入と遠隔制御により電気料金の上昇を抑制するEVスマート充電サービスです。お客様の電力設備の状況と、将来にわたるEV導入台数を踏まえたコストミニマムな計画を策定することで、EVの導入台数が増えた場合にも最小のコストで運用できます。
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よくわかる EV充電器の教科書
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